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今日の一枚は、米ミネアポリスから風雲急を告げるシンガー、Alexander O’Nealが1985年に発表したデビュー・ソロ・アルバム「Alexander O’Neal」(1985年3月8日/Tabu/Epic)です。
この作品は“80年代モダン・ブラックミュージック”の妙味を存分に味わえる1枚。ブラックミュージックとしての豪華なプロダクション、そしてブラックミュージック特有のソウル&ファンクの香りが、米R&B/ソウルの文脈からしっかりと発揮されています。
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プロダクション&サウンド
プロデュースはあの名コンビ、Jimmy Jam&Terry Lewis。R&B/ブラックミュージック界隈でも「ミネアポリス・サウンド」の最前線です。
全編にわたってシンセサウンドが効き、ドラムマシンと生ドラムが交錯するスタイルで、ブラックミュージックとして“洗練されたグルーヴ”を内包。特にバラード「If You Were Here Tonight」では、その静かな夜の情景とブラックミュージックならではの深みを感じさせてくれます。
また、ファンク/ダンス寄りのトラック「Innocent」では、ブラックミュージックの“リズム&グルーヴによる解放感”が前面に出ています。
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ヴォーカル&歌詞
O’Neal自身のヴォーカルは、力強さと甘さを兼ね備えており、いわば“ブラックミュージック・シンガー像”の典型と言える出来栄え。言葉ひとつひとつに抑揚があり、「やっぱり、これがソウルだ」と思わせる説得力があります。
歌詞の内容も、恋愛の切なさや自己肯定、夜の孤独といったテーマを取り扱い、典型的なブラックミュージックのコンテクスト=“隠れた痛み/それでも踊る喜び”をきちんと内包しています。
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曲目ハイライト
・「A Broken Heart Can Mend」:幕開けから“ああ、この歌手来たな”という佇まい。美メロ・バラードとしてブラックミュージックの王道を行く。
・「If You Were Here Tonight」:甘く切なく、夜のラヴ・ソング。英国チャート13位という結果も納得。
・「Innocent」:アルバム中盤のフロア寄りナンバー。ブラックミュージックとしてのダンサブルな顔が光る。
・「What’s Missing」:シングル時には米R&Bチャート8位という成績も。ブラックミュージック・サイドの“実力派”を象徴。
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シングル・チャート情報(当時)
以下、主なシングルのランキングを整理します。ブラックミュージック・マーケット内での動きが非常に興味深いです。
| シングル | UKシングル・チャート | 米R&B/ブラック・シングルズ・チャート |
|---|---|---|
| Innocent | チャート入りせず(UK) | US R&B #11 |
| If You Were Here Tonight | UK #13 | US ブラック・シングルズ #17 |
| A Broken Heart Can Mend | UK #53 | US ブラック・シングルズ #62 |
| What’s Missing | UK #90 | US Hot R&B/Hip-Hop Songs #8 |
このように、ブラックミュージックとして米国内でのR&Bチャートにおいて強さを見せつつ、英国でも一定の成功を収めたという点が大きなポイントです。
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「Alexander O’Neal」は、ブラックミュージusicシーンにおける“ニュー・ソウル・スター”的な登場を告げる名盤でした。ブラックミュージックの文脈=ソウル・ルーツ+モダン・シンセ・サウンドという枠組みを、まさに体現しており、これからのR&B/ブラックミュージックの潮流をガッチリ掴んでいます。
このアルバムは、夜の静寂に寄り添うバラードと、躍動するダンス・トラックという相反する要素を、ブラックミュージックの視点からしっかりまとめ上げており、聴く者を“ロマンティックな夜”と“グルーヴ溢れる夜遊び”のどちらにも誘います。
また、プロデュース/演奏ともに“ブラックミュージックの匠”たちが裏方に控えているのも見逃せない。これは邦楽/洋楽問わず、ブラックミュージック好きには必聴の1枚と言えるでしょう。
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ぜひ真夜中に、ヘッドフォンでじっくりと。夜の街灯がぼんやり見えるようなシチュエーションでこそ、このアルバムの“ブラックミュージックとしての余白”が深く染み入るはずです。
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