Bobby Nunn「Second to Nunn」(1982)
――L.A.のナイトグルーヴが、今ここに。
80年代初頭、アメリカ西海岸のソウルシーンを彩った新星、ボビー・ナン(Bobby Nunn)。その名を一躍有名にしたのが、このセカンド・アルバム『Second to Nunn』(1982年)だ。軽快なシンセベースとスムースなファルセット、そしてどこかアーバンな哀愁が同居するサウンドは、まさにブラックミュージック黄金期のエッセンスを凝縮した一枚と言える。
ボビー・ナンは、元々リック・ジェームスやテンプテーションズのバック・ヴォーカルや作曲を手掛けた才人。モータウンの流れをくむファンクセンスと、L.A.流のメロウな感覚を見事に融合させたクリエイターだ。デビュー作『Bobby Nunn』(’81)の成功を受け、より洗練されたアーバン・ファンクを志向したのが本作『Second to Nunn』である。
アルバムを象徴するのが、「Don’t Knock It (‘Til You Try It)」。全米R&Bチャートで最高33位を記録したこのナンバーは、軽快なシンセファンクとトークボックスを交えたヴォーカルが印象的。クラブでも人気を博し、日本でも一部のソウルDJの間で“隠れ定番”として愛された。続く「She’s Just a Groupie」では、ナンらしいウィットに富んだ歌詞とリズム感が炸裂。こちらもR&Bチャートで15位をマークし、当時のブラック・ラジオ局でヘヴィ・ローテーションされていた。

全体として、ミネアポリス・サウンドがまだ登場する前夜の、L.A.流エレクトロ・ファンクの完成形ともいえる仕上がり。程よい機械感と人間味のバランスが絶妙で、まさに80年代初期のブラックミュージックの多様性を示す好例だ。特に「Sexy Sassy」「Got You Where I Want You」では、メロディメーカーとしての才能が光り、後のモダンソウル路線にも通じる芳醇な響きを放っている。
当時のFMステーションなど専門誌で取り上げられても、まだ“Bobby Nunnって誰?”という段階だったかもしれない。しかし本作で聴かせるサウンドには、確かな手応えと未来への扉が感じられる。80年代初頭のブラックミュージックを語るうえで、決して外せないアーバン・ファンクの隠れた名盤だ。
――「SECOND TO NUNN」――その名の通り、“二番目ではない”確かな個性。都会の夜に似合う、スモーキーでソウルフルな1枚。
主なチャート情報
- 「She’s Just a Groupie」:全米R&Bチャート 15位(1982年)
- 「Don’t Knock It (‘Til You Try It)」:全米R&Bチャート 33位(1983年)
アーティスト情報:Bobby Nunn(ボビー・ナン)
ニューヨーク出身。モータウン・レーベルで活動を始め、リック・ジェームスやザ・テンプテーションズのプロジェクトに参加。シンセベースとファルセット・ヴォーカルを武器に、80年代初期のアーバン・ファンク・シーンを牽引した実力派シンガー/プロデューサー。




















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