「ブラックミュージック」と「ソウルミュージック」──どちらも耳にすれば、黒人音楽の熱やグルーヴ、独特のフィーリングを連想させる言葉だ。しかし、日本ではこの二つの呼び名が、同じようでいてどこか違うニュアンスをまとってきた。レコード店での棚の分け方、ソウルバーで流れる選曲、さらには時代ごとの音楽誌の言葉づかいまで、その違いには歴史と文脈が潜んでいる。では、この二つの呼称は日本でどのように受け取られ、使い分けられてきたのか。そんな素朴な疑問から、音楽文化の深層が見えてくる。
今回はあくまで日本における「ブラックミュージック」とは?「ソウルミュージック」とはについて考察してみたい。
1. 用語の広さの違い
■ ブラックミュージック
- 最も広い概念
- アフリカ系アメリカ人の音楽文化を源流とする音楽全般
- 代表:
- ソウル
- ファンク
- R&B(現代R&B含む)
- ゴスペル
- ブルース
- ヒップホップ
- レゲエ(広義では含める場合も)
- 日本の音楽雑誌(FMステーション、ADLIB、ブラック・ミュージック・リビューなど)で90年代頃から一般化

■ ソウルミュージック
- ブラックミュージックの中の1ジャンル
- 1960年代〜70年代のアメリカで確立された「感情の叫び」「ゴスペル的高揚」を特徴とするスタイル
- 代表:
- Otis Redding
- Aretha Franklin
- Marvin Gaye
- Al Green
- O’Jays
- 日本では「大人のブラックミュージック」「歌の上手さの象徴」として扱われることが多い
🇯🇵 2. 日本独自の言葉のニュアンス
■ ブラックミュージック
日本ではしばしば「黒人音楽の総称」として使われるため、
- ソウル
- ファンク
- ディスコ
- R&B
- ヒップホップ
- ニュー・ジャック・スウィング
……などをひとまとめに語るときに便利な「包括語」になっている。
特に90年代のクラブ誌やレコード店(CISCO、Manhattan Recordsなど)では棚自体が「BLACK MUSIC」だったため、
ジャンル名というより文化圏の呼称として使われている。

■ ソウルミュージック
日本では
- 60〜70年代中心の伝統的ブラックミュージック
- シンガーの歌唱力を前面に押し出す
- 「泣き」「情感」「熱量」
を評価する場合に使われることが多い。
例)
- バラード中心 → ソウルミュージック
- 80年代以降の打ち込み中心 → R&B / ブラックミュージック
という分類が自然に起こりやすい。
🇯🇵 3. 日本での歴史的背景
■ 1970〜80年代
- 「ソウル」が主流の言い方
- Smokey Robinson、Marvin Gaye、EW&Fは「ソウル」と呼ばれた
- ディスコブームの中で「ソウルバー」「ソウルDJ」という呼び方が定着
■ 1990年代
- HIPHOPとR&Bの台頭で「ブラックミュージック」が広く普及
- ADLIB誌、GROOVE誌などが普及させた
- レコードショップも「BLACK MUSIC」カテゴリーを作る
→ ここから包括語としての意味が強まる
■ 2000年代以降
- 「R&B」と「HIPHOP」が一般語に
- それを総称する言葉としてブラックミュージックを使うケースが増える
- 一方、70sクラシックを愛する層は「ソウル」を別格として扱う傾向が今でも強い
🇯🇵 4. 現在の一般的な理解
| 用語 | 日本でのニュアンス | 範囲 |
|---|---|---|
| ブラックミュージック | 黒人文化ルーツ音楽の総称 | かなり広い |
| ソウルミュージック | ブラックミュージックの中の1ジャンル。歌重視。60〜70年代中心。 | 狭い |
🇯🇵 5. 現場(DJ/レコード店/音楽メディア)での実際の使われ方
- DJ:総括的には「ブラックミュージック」
- ソウルバー:70s〜80sの歌もの中心 → 「ソウルミュージック」
- レコード店:ジャンル棚は「BLACK MUSIC」
- 音楽評論:音楽史を語るときは「ソウル」とジャンル名を明確に使う
特に日本では
ソウル = 歌もの、ブラックミュージック = 文化圏の広いくくり
という理解が強いです。
✨まとめ
日本では
- ブラックミュージック:広い概念、文化としての黒人音楽全体
- ソウルミュージック:その中の1ジャンル(特に60〜70年代の歌もの)
という棲み分けが一般的で、
時代の呼称変化(70sはソウル、90sはブラックミュージック)
という歴史的背景も大きく影響しています。
日本における「ブラックミュージック」と「ソウルミュージック」の定義は概ねお分かりいただけたと思う。
とは言え、明確な定義は存在せず、あくまでリスナー一人一人の捉え方で言葉を選んでいいだろう。
とはいえ、アメリカにおいては「ブラックミュージック」という呼称も差別的であるということから表現を変え、R&B/HipHop という表現に変化しており、日本でも若者たちの間でもR&B/HipHopが一般的になりつつある。この辺りの考察は別記事で書きたい。





















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