新宿三丁目 ソウルバー

ソウルバーのある街

新宿三丁目という“物語”とソウルミュージックの深い関係

東京に数多ある街の中でも、新宿三丁目ほど“密度”の高いエリアは珍しい。古くは戦後のマーケット街から始まり、1950〜60年代には飲食店・古本屋・劇場が混在する文化の坩堝(るつぼ)として発展。1970年代以降は、伊勢丹を中心とした商業区として洗練されつつ、裏路地には小さなバー、ライブハウス、個性的なショップが息を潜めるように並んでいった。

新宿三丁目は、巨大な新宿の“隙間”に宿ったカルチャーの街である。歌舞伎町の喧騒とは違い、性別も世代もカルチャーも自由に混ざり合う“ニュートラルゾーン”。その懐の深さが、ソウルミュージックを愛する人たちを自然と吸い寄せてきた。


音楽の街・新宿三丁目が育んだバー文化

新宿三丁目は“ジャンル越境”の街だ。ご存じ新宿歌舞伎町は日本最大の歓楽街、また新宿2丁目は日本最大のLGBTQの聖地でもある。その間に挟まれた新宿三丁目は、その間にある。地理的な存在だけでなく、先にのべたようにニュートラルゾーンであると同時に、ジャンルを超えた様々なカルチャー、人種、世代を吸い込む街でもある。音楽もまたニュートラルゾーンでもあり、ジャンルを超えた様々な音楽スポットが存在する。

  • ジャズバー
    新宿の伝統を受け継ぐ形で、老舗から新世代まで大小のジャズバーが点在。ビルの3階にふらりと入ったら、マイルスが鳴っていた、なんて日常。
  • ロックバー・オールジャンルバー
    ロック、パンク、オルタナの名盤を壁一面に飾るバーも多く、インディー志向の若者とベテランが同じ空間を共有するのもこの街らしい。
  • ソウル/R&Bバー
    そしてこの街の深夜をしっとりと照らすのが、ソウルバーだ。気取らず、だけど確かな選曲でグラスを進ませてくれる名店が点在している。

    今回は新宿三丁目を代表するソウルバーを2店舗紹介。新宿3丁目に足を運んだら必ず訪れたいお店。

静かに“黒いグルーヴ”が満ちていく場所、ソウルバー Soul Stream

新宿三丁目。
喧騒から数十メートル離れただけで、時間がゆっくり流れはじめる。その“都会の静けさ”の中で、ひときわ深く、あたたかいソウルが鳴り続ける店がある──
ソウルバー〈Soul Stream(ソウルストリーム)〉

名前の通り、ここで流れる音はまさに“黒い流れ”。
70年代ソウルから90s R&B、Quiet Storm、アーバン・モダンファンクまで、
一本の川がゆっくりと夜の底を流れるような選曲が特徴だ。

■ レコードの音に包まれる、静かで上質な空間

店内は落ち着いた照明。
華美ではないが、レコード棚とスピーカーの配置に“音への敬意”がにじむ。
扉を閉めた瞬間、外の喧噪はふっと静まり、
代わりに スネアの余韻、ベースの太さ、ヴォーカルの息づかい が、耳の近くにそっと寄り添ってくる。

Soul Streamは、
「大音量で盛り上がるバー」ではなく、
良い音をしっとり味わう“大人のソウル空間”

として知られている。

■ 王道を抑えつつ、深夜は“こだわりのメロウ”へ

選曲の軸はブラックミュージック。
ただし、ただの名曲集ではない。

  • Marvin Gaye
  • Luther Vandross
  • Smokey Robinson
  • Maze feat. Frankie Beverly
  • Phyllis Hyman
  • Anita Baker
  • 80sアーバン/Quiet Storm系

こうした“ソウルの正統派”に加え、
深夜帯はよりメロウでスモーキーなラインへ。

初めて訪れた人でも
「この店はセレクトが信頼できる」と直感するタイプのバーだ。

店主は決して饒舌ではないが、
好きなアーティストの話を振ると、
そのアルバムの裏話まで語ってくれるほどの“真性の音楽家肌”。
レコード針を落とす姿にも、ソウルへの敬意が滲む。

■ ひとり飲みに最適な“音の孤独”がある

Soul Streamの魅力は、
**ひとりで行っても心地よく過ごせる“距離感”**にある。

店内に満ちる音、
静かに揺れる照明、
グラスをゆっくり傾ける客たち。

誰とも話さなくても、
「音と一緒にいられる夜」を過ごせる。
それがこの店の素晴らしさだ。

■ 新宿三丁目のソウルバーとしての“確かな位置づけ”

華やかさではなく、
深さと余韻で勝負する店。

派手なイベントをしなくても、
ブラックミュージックが好きな人たちが自然と集まり、
静かに、しかし確実に愛されている。

Soul Stream
〒160-0022 東京都新宿区新宿3丁目10−9-1F FBビル
Tel 03-3356-9600
公式サイト Google Map


**新宿三丁目の夜に灯る“本物のソウル”SOUL JOINT(ソウル・ジョイント)

新宿三丁目は、夜の深さと人の温度がちょうどよく混ざり合う街だ。
その雑踏のすぐ裏手に、ひときわ自然体で音楽を愛する大人たちが集まる場所がある──
ソウルバー〈ソウル・ジョイント〉

■ 1枚のレコードから、静かに始まる夜

階段を登ると、まず耳に届くのはやわらかなレコードノイズ。
店内は決して広くはないが、その分、選び抜かれた音と客との距離が近い。
壁際に整然と並んだレコードは、70年代ソウル〜90年代R&B、アーバン・モダンソウル、Quiet Stormまで幅広いが、どれも店主の愛情が詰まった一枚であることが分かる。

店主は「奇をてらわず、ただ“良い曲を良い音で”」を信条にするタイプ。
そのため、夜ごとにふと流れる曲が、多くの客の記憶に刻まれていく。

■ 選曲の魅力:王道+渋さ+都会的な滑らかさ

ソウル・ジョイントの音楽は、いわゆる“名曲”だけでは終わらない。

  • Heatwave、The Temptations、Harold Melvin & The Blue Notes のような王道
  • D’Angelo、Maxwell、Donell Jones などのネオソウル
  • The Whispers、Atlantic Starr、Midnight Star などの80’sアーバンソウル
  • Quiet Storm系の深夜向けスロウナンバー

…と、店内の雰囲気に合わせて滑らかに繋がっていく。
特に深夜帯、オレンジの照明の中で流れるメロウ系は、三丁目の地下で時間を忘れさせる魔法のようだ。

■ “酒が進むソウルトーク”も魅力のひとつ

初めてでも気後れしない、柔らかい空気。
音楽が好きな人なら自然と会話が生まれ、知らない同士でも
「その曲、誰のプロデュース?」
「このベースライン最高じゃない?」
…と、つい語り合いたくなる。

無理に盛り上げない、でも音楽に誠実。
そんな空気がソウル・ジョイントの最大の魅力である。

■ 新宿三丁目のナイトライフに欠かせない“ソウルの温度”

派手ではないが、確かな“本物感”がある。
大人が自然体でいられる余白がある。
そして、そんな空間に寄り添うのがブラックミュージックの深い温もり

ソウル・ジョイントは
「新宿三丁目でソウルを聴くなら、まずここへ」
と胸を張ってすすめられる名店だ。

Soul Joint
〒160-0022 東京都新宿区新宿3丁目10−7 前田ビル2F
03-3353-5102
公式サイト Google Map


新宿三丁目の夜、聴きたい一曲。
Bobby Womack – “I Wish He Didn’t Trust me So Much”

ソウルミュージックは、しばしば「恋の幸福」より「恋の葛藤」を美しく描く。
この曲はまさに “ソウルが最も得意とするテーマ” を扱っている。裏切りたくない。でも惹かれてしまう。
その苦しさを、誠実にも不誠実にも寄りすぎずに歌うウォマック。
I Wish He Didn’t Trust Me So Much” は、華やかなラブソングではない。
しかし、だからこそ心に深く刺さる。
“愛と友情、誠実と誘惑、その全部を抱えて生きるのが人間だ”
この「言葉にしきれない領域」を描けるシンガーは、そう多くない。
新宿三丁目にこれほど似合う曲があるだろうか?

独断と偏見で選ぶ!SoulFlavaクリスマス・グルーヴ第一弾独断と偏見で選ぶ!SoulFlavaクリスマス・グルーヴ第一弾前のページ

日本での「ブラックミュージック」と「ソウルミュージック」なにが違うの?次のページブラックミュージックとソウルミュージックの違い

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

特集Pick Up
独断と偏見で選ぶ!SoulFlavaクリスマス・グルーヴ第一弾

独断と偏見で選ぶ!SoulFlavaクリスマス・グルーヴ第一弾

DJ必聴!サンプリング回数の多いR&B/ソウル原曲ランキングTOP10

DJ必聴!サンプリング回数の多いR&B/ソウル原曲ランキングTOP10

最近の記事
  1. LSG
  2. GUY『GUY』
  3. by all means
  4. タクシードライバーと山上容疑者 
  5. Evelynking
  1. Jimmy Cliff ジミークリフ死去

    よもやま話

    Jimmy Cliff ジミークリフ死去「Many Rivers to Cros…
  2. 特集記事

    「ロンリー・チャップリン」と「Take Good Care Of My Hear…
  3. FUNK

    キャメオの弟分として活躍 Mine all mine/Cashflow (…
  4. NEWS

    マライア大失態
  5. VOCAL

    Freddie Jackson 珠玉のデビューアルバム『Rock Me Toni…
PAGE TOP