“街を揺らす兄弟グルーヴ、黒き閃光のシティ・ファンク!”
1982年――ディスコ・ブームの熱が少しずつクールダウンし、日本では「シティポップ」や「AOR」という新しい言葉がラジオを賑わせていた頃。カセットの中では角松敏生や杏里、そして海外ではアース・ウインド&ファイアー、クール&ザ・ギャングが人気を博していた。そんな時代の空気をさらにファンキーに染め上げたのが、このGAP BANDの『Gap Band IV』だ。
■兄弟が生んだ“黒の爆発”——GAP BANDとは
GAP BANDは、オクラホマ出身のウィルソン3兄弟――チャーリー、ロニー、ロバートによって結成されたファンク・バンド。バンド名は故郷タルサの通りの名前「Greenwood, Archer, Pine」の頭文字から取られている。70年代後半からPファンクの流れを汲みつつも、よりストリート感とシンセ・グルーヴを強調したサウンドで頭角を現した。
そのエネルギーは、まさにアメリカ南部の黒人教会のゴスペル魂と、都会のネオンを照らすブラックミュージックの進化の象徴ともいえる。
■全米を制したファンク・ナンバーたち
本作『Gap Band IV』は、GAP BANDの代表作にして頂点。
リード・シングル「Early In The Morning」は全米R&Bチャート1位(Billboard Hot Soul Singles)を獲得。
チャーリー・ウィルソンのハイトーン・ヴォーカルと、ブリブリとしたベースラインが朝焼けを突き抜けるような快感を生む。
さらに「Outstanding」はクラブDJたちの定番中の定番。こちらもR&Bチャート1位を記録し、いまなおヒップホップのサンプリング・ソースとして愛され続ける。甘く、艶やかなメロディに乗せて「You blow my mind…」と囁くその瞬間、ブラックミュージックの官能が爆発する。
「You Dropped a Bomb on Me」は全米ポップチャートでも大ヒット(Billboard Hot 100で31位、R&Bチャートでは2位)。爆弾のようなシンセ・エフェクトと跳ねるリズム、チャーリーの強烈なシャウト――80年代ファンクの象徴的瞬間だ。
アルバム全体は全米R&Bアルバムチャート1位を獲得。まさにGAP BAND黄金期の幕開けである。

■日本の“夏の夜”とも共鳴したブラック・グルーヴ

この1982年、日本ではファッション誌「POPEYE」や「an・an」が“LAスタイル”や“アーバン・サウンド”を特集していた。
カーステレオからは角松敏生やTatsuro Yamashitaの爽やかなシティ・グルーヴが流れ、夜の国道をドライブする若者たちは、次第にアメリカのブラックミュージックにも耳を傾け始めていた。
そんな時代の風に、『Gap Band IV』のスリリングなリズムとメロウなコーラスが見事にハマったのだ。
このアルバムは、ブラックミュージックが単なる“ダンス・ミュージック”ではなく、“ライフスタイル”として日本の都会生活に溶け込んでいく転換点のひとつでもあった。
『Gap Band IV』は、黒いリズムと都会的な感性が最高のバランスで融合した80年代ファンクの金字塔。
エネルギッシュなファンク・サイドと、スウィートで官能的なスロウ・ジャムのコントラストが素晴らしい。
“黒の熱”を持ちながら、どこか洗練された都会の香り――それがこの時代のブラックミュージックの魅力そのものだ。
🕶️ 総評:★★★★★(名盤)
🎧 おすすめ曲:「You Dropped a Bomb on Me」「Outstanding」「Early in the Morning」
📀 Billboard R&B Albums:1位(1982年)
🗓️ 発売:1982年 Mercury Records





















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