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ネオンのきらめきに、黒いビートが香る。 Dynastyが描く、アーバン・ロマンスのセカンド・アドベンチャー。 (1981)

Dynasty/『The Second Adventure』

まずはこのアルバムを代表する一曲、Dynasty,Here I am から始めましょう!
米ロサンゼルスを拠点とするR&B/ファンク・グループ、Dynasty。当時のLAダンスファンクシーンといえばLeon Sylvers IIIが代表的なプロデューサーでした。


1.バンド・プロフィール

米ロサンゼルスを拠点とするR&B/ファンク・グループ、Dynasty。1978年にプロデューサー兼レーベル・ヘッドの Dick Griffey と、レーベル・インハウス・サウンドを牽引した Leon Sylvers III によって発足。
メンバーにはヴォーカルの Nidra Beard、Linda Carriere、キーボード兼ヴォーカルの Kevin Spencer 等が名を連ね、スタジオ・マスターズ(ロサンゼルス)で録音を重ねました。
1979年のデビュー作『Your Piece of the Rock』以降、ソウル/ファンク・シーン、特にブラックミュージック領域で注目を浴び、「ブラックミュージック」の潮流に欠かせない存在となりました。


2.アルバム背景/日本の当時ブームとの絡み

1981年、日本ではバブル前夜という余裕と変化の匂いが漂い、ディスコ・ブームの余韻、シティ・ポップ隆盛、そして「ブラックミュージック」への関心も確実に高まりつつありました。夜のクラブ文化、洋楽紹介番組、東京のディスコ・シーンではソウル/ファンク/ブラックミュージック系の輸入盤が脚光を浴び、「ブラックミュージック」としてのグルーヴ感が若者文化に浸透していたのです。
そんな時代にリリースされたのが本作『The Second Adventure』(1981年)。先行作で築いたファンク/ソウル基盤にさらに洗練されたサウンドと、ブラックミュージックのエッセンスを昇華させた意欲作でした。

3.アルバム内容とチャート実績

本作は1981年発売。
収録曲には「Here I Am」「Love in the Fast Lane」「A Man in Love」などが並び、ブラックミュージックのグルーヴをしっかり押さえながら、都会的/夜のムードを漂わせています。

チャート実績も確認できます。アルバム自体は米ビルボードのTop LPs & Tapeで119位、Top R&B Albumsで42位を記録。
シングル面では:「Here I Am」がR&Bチャートで26位、Danceチャートで51位。「Love in the Fast Lane」はR&Bで31位。
これら数字は、ブラックミュージックの潮流の中で、Dynastyが確かな足跡を残したことを示しています。


4.音楽/トラック解説

例えば、冒頭トラック「Here I Am」は、甘くも力強いヴォーカルとシンセ/ベースの跳ねるリズムが印象的で、夜のオープンカー、都会のネオン、そんなイメージともリンクします。ブラックミュージック特有のグルーヴ感が前面に出ており、踊りながらしっとりと聴けるナンバーです。
「Love in the Fast Lane」はタイトル通り、高速道路を疾走するかのような軽快さとタイトなリズム・セクションが魅力。日本でも「夜ドライブのお供に」といった受け取り方ができそうな一曲です。
アルバム全体を通して、「ブラックミュージック」という言葉が指し示す──ソウル/ファンク/R&Bの文化的重層性とグルーヴの深み──が随所に感じられ、まさに”ブラックミュージック”を愛するリスナーにこそ届く内容と言えるでしょう。


5.秘話・米国サイトからの裏話

米英の情報によれば、Dynastyの製作陣にはLeon Sylvers IIIが深く関わっており、ソラーレコード(SOLAR Records)の“サウンド・オブ・ロサンゼルス”サウンドを牽引した彼の手腕が本作でも発揮されました。
また、グループ内部ではNidra Beardが多くの曲で作詞・コーラス・ヴォーカルを担い、グループの音的軸となっていたという記録もあります。これは、ブラックミュージックの〈演奏=グルーヴ〉だけでなく〈歌詞/ヴォーカル=感情〉という側面を大切にしていた証しとも言えます。
さらに、米国内では「このアルバムは前作ほど大ヒットはしなかったが、ブラックミュージック愛好家の間で『隠れた名盤』として語られている」というレビューも散見されます。


まとめ

昭和末期、街にはディスコの残り香とシティ・ポップの風、そして“洋楽ブラックミュージック”の“わかる人にはわかる”流行がありました。本作は、そうした時代背景にぴったりフィットするサウンドです。
「ブラックミュージック」の潮流を楽しむ日本のリスナーにこそ、本作の魅力は深く響く。夜のドライブ、都会のバー、クラブの余韻──そんなシーンに寄り添う音と言えるでしょう。チャートではトップ10には届かなかったものの、確実にR&Bチャート上で“支持された”作品であり、その意味では“隠れた名盤”です。
今改めてこのアルバムを聴き返せば、当時の“ブラックミュージック”が持っていた磁力、黒⽼感(こいろえかん)、都会的洗練、そしてグルーヴの温度が鮮やかによみがえります。Dynastyの“第二の冒険”は、まさに夜の冒険であり、ブラックミュージック探究者に捧ぐ1枚です。


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