FUNK

“特別な何か”を感じさせるブラックミュージックの結晶

Kool & The Gang『Something Special』(De-Lite Records/1981)

80年代初頭、ディスコからアーバン・コンテンポラリーへと流れる潮流の中で、Kool & The Gangは見事にその波をキャッチしていた。『Ladies’ Night』(’79)、『Celebrate!』(’80)と続くヒット街道のその先に現れたのが、この『Something Special』だ。まさにタイトルどおり、“特別な何か”を感じさせるブラックミュージックの結晶である。

プロデュースはもちろん、グループのキーボーディストであるEumir Deodatoが担当。ファンク・グルーヴに洗練されたシンセ・サウンドを融合させ、ディスコ世代とR&Bリスナーの両方を満足させる完成度を誇る。ボーカルのJ.T. Taylorのスムーズな歌声は、この時期まさに絶頂期。

中でも全米No.1を獲得した「Take My Heart (You Can Have It If You Want It)」は、メロウでいて躍動感ある都会派ブラックミュージックの代表曲。Billboard R&Bチャートでも見事1位を記録し、ポップ・チャートでも17位にランクインした。ほかにも、キャッチーな「Get Down on It」はR&Bチャート3位、ダンス・クラシックとして今もDJたちの定番だ。さらに「Steppin’ Out」もR&Bチャート12位をマークし、Kool流スムース・ファンクの真骨頂を示している。当時の日本のディスコでは「Get Down on It」がヘビーローテーションされたが、「Take My Heart (You Can Have It If You Want It)」が個人的にはこのアルバムの中で際立つ一曲であり、チャートの成績もこのアルバム中の最高位を記録している。


🎵 「Take My Heart (You Can Have It If You Want It)」チャート成績(Billboard)

  • R&Bチャート(Hot Soul Singles):🥇 1位(1981年12月)
     → Kool & The Gangにとってこの時期を代表するR&B No.1ヒット。
  • Billboard Hot 100(総合チャート):🎯 17位
     → クロスオーバーにも成功し、ポップスリスナーにも大きく浸透。
  • Dance/Club Playチャート:🕺 8位
     → ディスコやクラブシーンでもヘビープレイされた。

この曲は、J.T. Taylorの甘くソウルフルなボーカルとDeodatoの洗練されたアレンジが見事に融合した“アーバン・コンテンポラリーの完成形”といえる一曲。
当時、ブラックミュージックがメインストリームへと本格的に溶け込んでいく流れの中で、この曲が持つ「スムースで都会的なファンク感」が、その後の80年代R&Bサウンドの方向性を決定づけたとも言われています。

アルバム全体を通して感じられるのは、ブラックミュージックの“夜の華やかさ”と“朝の清涼感”の共存。ブラス・セクションの煌めき、ミッドテンポのグルーヴ、そしてDeodato流の透明感あるアレンジ。80年代アーバン・ソウルの理想形ともいえるだろう。

Kool & The Gangは1964年、ニュージャージー州ジャージーシティで結成。ジャズ・ユニットとして出発しながら、70年代にファンクへと進化。さらに80年代にはポップ・フィールドでも成功を収め、まさにブラックミュージックの変遷を体現したグループだ。

『Something Special』は、彼らの長いキャリアの中でももっとも輝かしい瞬間のひとつ。都会の夜をドライブするカーステレオにも、シャンデリアがきらめくディスコ・フロアにも似合う、“アーバン・ファンクの宝石箱”だ。

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