Oops!/Chaz(’83)

  当時の日本にはカラオケボックスやキャバクラや、携帯電話もなく、あ、もちろんインターネットもなく、メールもない世界だった。趣味を選ぶなんて選択肢はあまりない世の中で、夜のお遊びもディスコとかがポピュラーなお遊び。フツーの日でもディスコに行ったりして、六本木には全フロアディスコっていうスクエアビルも誰もが知るビルだった。手持ちのメンバーズカードを自慢げに見ながら、今日はどのディスコ行こうかって・・・当然、音楽のジャンルはなんでもありで、サーファー系とかテクノ系とかロック系などという様々なディスコ、はい今でいうクラブが新宿・渋谷・六本木、そして池袋にも点在していた。そんな中でも敷居の高いのが、ソウル系と言われる、ブラザーやシスタが集まるディスコ。サーファー系とかなら、ファーラーのパンツに今風の格好なら誰しも入れて、楽しんだものだが、ソウル系は大学生ではそうは簡単に敷居をまたげない時代。代表的なソウル系ディスコは赤坂のムゲン、そして六本木のソウルエンバシー。ソウルエンバシー、そう、ソウル大使館です。
六本木、ソウルエンバシー。六本木の交差点から六本木通りを渋谷方面に歩き、ちょうど今の六本木ヒルズに差し掛かるあたりの雑居ビルの2階に鎮座した伝説のソウルディスコ。とにかく襟をただし、背筋を伸ばし、店内に入ると、漆黒のブラックミュージックが店内に渦巻く闇、闇、闇また闇。そこでは流行りの曲じゃなく、客に媚び売らない挑発的なファンクの連続弾、絨毯爆撃。ヘビーなファンクに打たれ打たれて痺れまくり、失神寸前。ブラザーが闇の中で腰をくねらせ、女子はシスタ気取りで腰に手を絡ませる。ウィスキーにコーラをぶち込んだ安酒までもが舌を痺れさせる。
ソウルエンバシーではOops!/Chazがプレイされただろう。Chazはチャールズチャックカーターを中心に結成されたバンド。どうやら全て親戚関係らしいのだが、チャールズの愛称、チャズChazをバンド名にしたらしい。ダンスクラブをドサ回りしていたバンドだが、83年にデビューアルバムをリリース。75年結成というから、8年で待望のアルバムデビューとなった下積み経験の長いバンド。そのアルバムCHAZからの一曲目がこのOops! 安っぽいシンセの響きが、ファンクに似合う典型パターン。都市名の連呼がまた、安っぽい。「安っぽい」がこれほど称賛の言葉となることもないだろうっていうぐらい、この曲は「安っぽく」素晴らしい。そしてこういうファンクが、ソウルエンバシーで、ぎこちなく現れたストレンジャー、見知らぬ訪問者への挨拶代わりに、そしてソウルファンクの高尚さを伝えるべく、漆黒のフロアに流し込まれるのだ。

Oops!/Chaz(’83) SoulFlava Rank 229位




1983年昭和58年
忠生中事件(校内暴力全盛)
大韓航空機撃墜事件(GPSの民間開放へ)

3月:中国自動車道全通
4月:東京ディズニーランド開園
5月:日本海中部地震M7.7・津波
10月:三宅島噴火
[話題・流行]キン肉マン消しゴム/ファミリー・コンピュータ(ファミコン)/ドラマ「おしん」
[流行歌]矢切の渡し/さざんかの宿/SWEET MEMORIES
[公開映画]E.T./南極物語/時をかける少女

カフェバー・ブーム、ディスコ冬の時代
京都マハラジャ開店

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